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娘がまだ幼稚園に通っていた頃、節分が近づくと、毎年のように鬼のお面を作ってきた。
初めはなんだかなあ~くらいのものだったけど、年長にもなると結構立派なものだった。
特にすごい材料を使ってるわけではなく、紙皿を使った工作である。
節分前に作品を持ち帰ってきた。どうぞ家で使って下さい、ということだろう。

節分 工作 紙皿

手提げ袋から取り出してみると、昨年までとは違った、とても力強いものだった。
ちょっと遠目で見れば、あの紙皿とは思えないくらいのクオリティーだ。
赤のクレヨンでグイグイ色が塗ってある。クレヨンなので、目の色の黒や牙の色の黄色が、
他の部分にもちょっと付いてしまっているが、それがより一層迫力を増している。
髪の毛の部分は毛糸にしてあるのだが、ほつれ具合というか、ぐちゃぐちゃ具合が
これまたリアリティがあって、大暴れしそうな鬼そのもののようだ。
「すごいねー、上手に出来たねー。迫力あるなあ。いや、ホントすごいなあー。」と感心した。
本当に娘が作ったのかとも思い聞いてみると、自分だけで色塗りもしたとのこと。
今まででこんな傑作はないと思い、お客さんが見ても感心するだろうと思い、
下駄箱の上の目立つところに飾った。
このお面を持って帰ってきて、親からめちゃめちゃ褒められて、さぞやご機嫌かと思いきや、
娘の様子は別に変わることはなかった。そんなものってくらいに見える。
まあ節分になったら、自分で作った迫力満点のお面に向かって、テンションアゲアゲで
マメをぶつけパパ鬼をやっつけるんだろう、そう思っていた。
パパも仕事から帰ってきたら、鬼のお面のことをいーっぱい褒めた。

節分の夜、パパが帰ってきてから豆まきしようねと、マメも私も準備万端。
そしてパパが帰ってきた。さーやるぞー、とパパがお面を付けたところ
「ヤダヤダヤダー、うわーん、それやだよー、怖い怖い怖いんだからー」と
泣き叫びだした。
えっ、自分で作ってきたんでしょ?手提げに入れて持って帰ってきたのは自分でしょ?
なんで今さら怖いとか言ってるんだろう。
もともと娘は、極度の怖がりな面があった。
なので、この迫力あるお面を自分で作ってきたことも、実は私には違和感があった。
でも、作れたということは、娘の中で成長した部分がるのかなとも思っていた。

こうなっては節分どころではなく、時間を掛けてなだめすかし、落ち着いた所で聞いてみた。
すると、初めはピンク色で塗って、可愛い鬼にしたかったらしい。
でもピンクがなかったので、赤で薄く塗って終わりにした所、先生に何度も
「もっと濃い目に塗ってごらん。もっといい鬼になるよう。」と言われたとのこと。
その通りにしたら、自分が目指していたかわいい鬼ではなく、怖い鬼になってしまった。
もう、その瞬間からその鬼を嫌いになってしまった。でも持って帰らなければならない。
ママは褒めたけど、本当は見たくもなかった。なのに下駄箱の上に飾られて、
トイレに行くのも怖くて、なるべく視線が合わないように、見ないようにしていた、とのとこ。
どうりで、褒めても褒めても反応がなかったわけだ。

とうことで、最高傑作だった鬼の面は、娘の要望通りに処分されるはめになるのでした。